「はたらける場所があるだけでありがたいです。」
しょうがいのある方やご家族から,よく聞く言葉ですが,この言葉で,不合理な差別や虐待を飲み込んでいる実態があります。
しょうがいがあっても,自分らしく生きるために,それぞれの能力を発揮できる仕事についてお給料をもらうことは,とても重要なことです。
「障害者雇用促進法」では法定雇用率が定められ,新規求職者数も就職者数も増加しています。
しかし,最低賃金の保障はなく,中にはしょうがい者だという理由だけで低賃金を余儀なくされる方もいます。(経済的虐待)
また,しょうがい者だというだけで,怒鳴りつけられたり,悪口を言われたりする方もいます。(心理的虐待)
さらに,法定雇用率を達成するためだけにしょうがい者を雇おうとする会社の中には,しょうがいの特性に応じた合理的配慮もされていないところもあり,たとえば,足が悪いのに重たい書類の運搬を何度もさせられたり,会社内の別のフロアにあるバリアフリートイレの利用も禁じられたりということも,あるようです。(身体的虐待)
健常者でも,仕事中にけがをしてしょうがい者になると(中途しょうがい),リハビリをして職場復帰が可能になったのに復職を認めてもらえないということもあります。
しかも,これらの虐待や差別は,大会社や,社会福祉法人でも,起きているのです。
このような現状を変えていこうと,2011年から約5年をかけて,「障害者労働組合」結成の準備が行われてきました。
そして,2015年12月23日,「障害者労働組合」が産声をあげました。
当日,東京都障害者福祉会館で行われた結成大会に,縁あって私も出席させていただきましたが,参加された皆さんの顔は,未来を見据えて輝いていました。
「障害者労働組合」が掲げる「わたしたちの要求~障害者も働きたい」をご紹介します。
「わたしたちの要求」 ~障害者も働きたい
1.障害者のことを,正しく知ってほしい。 2.障害のない人たちと同じように,働く権利を保障してほしい。 3.働ける場所を増やしてほしい。 4.働くすべての障害者に,少なくとも最低賃金を払ってほしい。 5.働くすべての障害者が,あんしんして働きつづけられる法律を,障害者の意見を聞いてつくってほしい。 6.障害者が働けるために,障害に応じた配慮をしてほしい。 7.障害者に差別や虐待をしないでほしい。 |
ホームページは準備中とのことですが,ツイッターとブログで情報発信をされています。
・ツイッター: 障害者労働組合/@jducenter
・ブログ: すべての障害者の働く権利の確立をめざして~障害者労働組合/ http://jducenter.blogspot.jp/
また,組合の加入リーフはこちらをご覧ください。
「わたしたちの要求」がすべて実現されるまでには,長い時間と努力が必要だと思います。
私も,弁護士としてできることがあればと思い,その一歩として,当ブログで「障害者労働組合」の紹介をさせていただきました。
(弁護士 生駒真菜)
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2023年5月22日
解決事例を追加しました(海外に出国したまま連絡が取れなくなった相手に対して離婚訴訟を提起した事例)
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2023年3月31日
法学教室2023年4月号に、弁護士佐藤香代の論考「学校で起きる紛争の特殊性と法律家に期待される役割」が掲載されました。
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2023年2月14日
弁護士紹介(弁護士佐藤香代、弁護士上柳和貴)を加筆修正しました。
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2022年5月30日
成年年齢引き下げをテーマにオンラインイベントを実施しました。
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2020年8月5日
東京弁護士会 子どもたちと弁護士がつくるお芝居「もがれた翼」無料配信のご案内
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2020年4月8日
子どもたちも!新型コロナ緊急事態宣言期間限定 無料電話相談「リーガル・ホットライン たいとう」のご案内