Aさんは、中学校3年生でした。両親は、小学生のころに離婚し、父親の実家で生活をしていました。
しかし、父親からの虐待に悩み、高校生活は、母方の祖父母の下で過ごしたいと願うようになりました。
Aさんは、母親とその祖父母と相談したところ、母親は、Aさんの願いを聞き入れて、父親に対して、「親権者変更の調停申し立て」をしました。
また、家事事件手続法が改正され、離婚や子の監護に関する事柄、親権者の変更などの一定の事件については、子どもが、子ども自身として親とは独立して、家庭裁判所の手続きに参加することが認められました。
この法改正によって、子どもも裁判所の許可を得れば、親同士の調停に「利害関係人」として参加をして自分の意見を述べたり、親が提出している書類を読んだりすることができるようになったのです。
そこで、Aさん自身も、母親が申し立てた親権者変更の調停に参加するために、「子どもの手続代理人選任申立て」を行い、自分の意見を裁判所に届ける弁護士を選ぶことにしました。
子どもの手続代理人に選任された弁護士は、Aさんの気持ち、これからの自分の生活の仕方や、父親との関係の持ち方に関する願いを聴き取り、文書にして裁判所に報告をしました。
裁判所は、Aさんの思いを理解し、父親にもその気持ちを伝えてくれました。
父親は、Aさんの強い思いを受けて、母親を親権者とすることに同意し、わずか2回の調停手続きで、事件は解決しました。
Aさんは、未成年者ですが、自分の生活の在り方について、自分なりの意見を大人に聞いてもらう権利があります(子どもの権利条約第12条「意見表明権」)。
大人は、子どもが発した意見について、十分に尊重しながら子どもに関する事柄を決めなくてはなりません。
子どもの手続代理人制度は、まだ新しい制度ですが、この意見表明権を実現する有力な手段にもなります。
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