中小企業支援
請負業者とクレーマーの悪弊を断つ
路上を囲って施工するガス・電気・水道などの公共工事はいたるところで見かけますが、その陰には、「市民」を名乗るクレーマーをめぐる請負業者さんの見えない葛藤があります。
警備員の配置や道路専用の許可条件などについてクレームを付け、その対応が悪いと言って謝罪文を要求し、発注した局や警察への苦情申入れを執拗におこなう。現場を円滑に進めたい業者は、これを収めるためにクレーマーからの金銭等の利便要求に応じてしまいます。
この業界の悪弊を断ちたいと、業者さんたちが立ち上がりました。
他の事案では,警備員がいない現場で,高齢の女性が転倒したとして損害賠償を要求してきました。
女性は会社の社長を呼び出し,深夜まで粘ります。根負けした社長は診断書と引換えに慰謝料を払いましたが,女性は未請求分があると仄めかします。
診断書の住所は虚偽でした。
一方的な電話攻勢に参った社長は,弁護士に相談しました。
クレーマーは、現場トラブルが業者の受注条件に影響を及ぼす公共事業の仕組みを熟知しています。業者はトラブルを隠したがり、そこに付け込まれるのです。
弁護士は、発注者の関係部局が下部へ責任転嫁する負の連鎖を断つため、局の担当者にも、事実関係の正確な把握と毅然とした苦情処理を要請しました。
クレーマーに対しては、業務妨害を警告し、弁護士がすべての窓口になることを通告しました。
弁護士が正面に立つことで、事態は収まりました。
本件のポイント
クレーマー問題の根は深く、業者の勇気ある対応だけでは解決しません。
この案件をきっかけに、自治体の関係部局と業者組合において、局―業者間の信頼と協同で業界の悪弊と決別するための対策協議を進めることになりました。